用語について
渡り | ○ |
夏鳥 | 春に南方から渡来して繁殖し、秋になると再び南方の越冬地に帰る鳥。 |
冬鳥 | 秋になると北方の繁殖地から渡来して越冬し、春になると再び北方の越冬地に帰る鳥。 |
旅鳥(りょちょう) | 日本より北方で繁殖し、日本より南方で越冬する鳥。主に春秋、渡りの途中に日本を通過する。 |
留鳥(りゅうちょう) | 1年中、同一地域で見られる鳥。基本的には季節的な移動などをしない鳥だが、漂鳥と区別できない場合もある。 |
漂鳥(ひょうちょう) | 日本国内で季節的な移動を行う鳥。北日本で繁殖して西南日本で越冬するもの、山地で繁殖して平地で越冬するものなどがある。 |
迷鳥(めいちょう) | 何らかの要因で、本来の分布域や渡りのルートから外れ偶発的に渡来する鳥。 |
鳴き声 | ○ |
さえずり | 繁殖期に小鳥類の雄が発する。特徴的な美しい鳴き声。縄張りの宣言とメスを誘引する機能がある。 |
地鳴き | さえずり以外の鳴き声。一般に単調で短い。同種の仲間に対する呼びかけや、警戒時などに使われる。 |
ぐぜり | さえずりに似た、口ごもるような小さな鳴き声。 |
ドラミング | 主にキツツキ類がくちばしで枯れ木などをたたき、ドドド・・・という連続音を出す行動。さえずりと同様に縄張り宣言とメスの誘引の機能をもつと考えられている。 |
生活 | ○ |
縄張り | 繁殖や採餌のために、1個体またはつがいが同種の他の個体から防衛する一定地域。その範囲は種類によって異なり、巣の周辺だけのものから、生活圏全体のものまで様々。 |
混群 | 種類の異なる鳥が集まり、同じ群れとして行動すること。採餌や安全上の理由から混群を組むと考えられている。 |
繁殖 | ○ |
繁殖・繁殖期 | つがい形成、営巣、産卵、抱卵、育雛の一連の行動を行うこと、およびそれを行う期間。つがい形成のタイプには一夫一妻、一夫多妻、一妻多夫などがあり、一定のタイプに決まっている種類と、繁殖場所の条件によってタイプが変わる種類がある。 繁殖期も育雛にかかわる餌条件などで、種類によって異なっている。 |
求愛給餌 | 雄が雌に食べ物を与えて求愛する行動。この給餌が交尾と結びつくことが多い。種類によっては食べ物を伴わず、お互いのくちばしを重ねあうなど、行動が儀式化している。 |
コロニー | 集団繁殖地のこと。カモメやアジサシなどの海鳥、ウ類やサギ類に多く見られる。コロニー形成の理由には諸説があるが、集団でいることで、繁殖活動が高まるらしい。集団といっても巣と巣の間には狭いながら一定の縄張りが存在する。 |
レック | ある場所に雄が多数集まり、雌に対して求愛ディスプレイを行う行動。エリマキシギやライチョウ類に見られる。求愛ディスプレイを行う舞台をアリーナという。 |
托卵(たくらん) | 自分では営巣せず、卵を他種の巣に産み落とし、その鳥(宿主)に抱卵、育雛させる習性。日本ではホトトギス科の鳥で見られる。 |
ヘルパー | 繁殖するつがい以外の個体で、雛への給餌など、そのつがいの繁殖を手伝うものを指す。ヘルパーとなるのは繁殖するつがいの子供である場合や、群れの中の繁殖にあぶれた若い個体である場合が多い。 |
飛行 | ○ |
停空飛翔 (ホバリング飛行) |
翼と尾羽を複雑に動かし、空中の一点に停止する飛び方。主に採餌の際に使われる。種類によっては向かい風を利用して、同じようなこ飛び方をするものもいる。 |
帆翔(はんしょう) (ソアリング) |
気流を利用して羽ばたかずに飛ぶこと。ワシタカ類は上昇気流を利用する。アホウドリ・ミズナギドリ類は海面上の高度によって異なる気流の速度を利用して飛ぶ(ダイナミック・ソアリング) |
滑翔 | 羽ばたきと羽ばたきの間に入る羽ばたかない飛翔。滑翔を行う鳥の飛び方は波状飛行になる。 |
デイスプレイ・フライト | 繁殖期に行われる誇示飛翔で、縄張り宣言や求愛の機能を持つ。さえずり(さえずり飛翔)や音、特徴的な動作や姿勢を飛翔中に織り込んでいる。 |
羽毛 | ○ |
換羽(かんう) | 羽毛が抜け換わること。多くの鳥類では年1回、繁殖期の後に行う。春にも換羽を行うものもいるが、その場合、一部分だけの換羽であることがある。換羽の方法は羽毛が抜け換わるほか、羽縁がすりきれることによって換わる場合もある。 |
夏羽(繁殖羽) | つがい形成期や繁殖期の羽のこと。多くの場合、鮮やかな色彩で、種類によっては飾り羽をもつ。必ずしも夏に見られるわけでなく、種類によっては冬季に夏羽になるものもいる。 |
冬羽(非繁殖羽) | 非繁殖期の羽。夏羽に比べて地味な羽色の場合が多い。夏羽と冬羽の区別がのない種類も多い。 |
エクリプス羽 | カモ類のオスの非繁殖期の羽色のこと。メスの羽色によく似ている。秋に渡来した当初は、オスはこのエクリプス羽なため、メスとの識別に注意が必要がある。 |
翼鏡(よくきょう) | ツクシガモ類と淡水カモ類の次列風切を指す。緑や青の金属光沢をもち、その種類の特徴にもなる。 |
行動 | ○ |
ディスプレイ | 特徴的な動作、姿勢、声や音によって、自分の存在を誇示する行動。求愛ディスプレイや威嚇ディスプレイなどがある。種類によっては非常に儀式化された、ダンスのようなディスプレイを行うものもいる。 |
モビング(擬攻撃) | 主に小鳥類が天敵となる鳥や動物に対して集団で行う防衛行動。多数が集まって鳴き騒いだり、急降下などの飛行を行って相手を追い立てる。実際に攻撃することはない。 |
偽傷 | 卵やひなに近づいた天敵に対し、親鳥がけがをしたように羽をばたつかせて歩き、相手の注意を誘う行動。卵やひなから天敵を遠ざけると、親鳥は飛んで逃げる。チドリ類などでよく見られる。 |
擬態 | 危険を感じたときなどに、自分の羽色などを利用して、周囲の環境に自分の姿を溶け込ませること。 |
貯食 | 食べ物を地中や落ち葉の下、木の皮のすき間や幹の割れ目などに隠したり貯えたりする行動。カラ類などは主に秋に行うが、カラス類のように季節を問わない場合もある。 カケスは主にドングリを貯食するが、これはミズナラなどの分布拡大に役立っていると考えられている。 |
エコロケーション (反響定位) |
声などを発して、ものにあたって跳ね返ってくる音を聞いて周囲の環境を知る方法。コシジロウツバメが行うが、ココウモリのような超音波を発することは出来ず、その精度も比較的粗い。 |
体 | ○ |
尾脂腺(びしせん) | 尾羽の付け根にある皮膚腺で、ここから出る脂分を羽に塗って羽づくろいを行う。 |
額板(がくはん) | バンやオオバンに見られる、上嘴の基部から額にかけての板状の部分。 |
顔盤(がんばん) | フクロウ類の顔に発達する円形の凹型構造。集音アンテナの役割を果たし、夜間の狩に役立つ。又このおかげで目が前方に位置するため、フクロウは他の鳥より幅広い範囲での立体視が可能である。 |